好奇心

オカルト、ホラー、未解決事件の話題を中心に取り上げる「好奇心」です。

セーヌ川の身元不明少女とは?

IMG_5192

引用:Wikicommons

 

 

 

 1880年代の終わりごろ、セーヌ川ルーブル河岸から一人の少女の遺体が引き上げられた。

 

 その遺体には暴行の痕跡がなかったことから、自殺と考えられ、身元不明のまま調査が終わった。

 

 

 そんな彼女に名前「L'Inconnuedela Seine」(セーヌ川の身元不明少女)を与えたのは、1926年に発行されたデスマスクのカタログだ。

 

 そのデスマスクはパリのモデラーショップで最初に売り出される。ベートーベンやオリバー・クロムウェルなどの男性のデスマスクの間にぶら下がっている女性の顔は、ひと際目立った。さらにそのデスマスクには微笑が浮かんでおり、たちまち人々の話題となった。

 

 そのミステリアスな少女(以下レサシアン)の遺体は人々の想像を刺激し、文学や音楽の題材として使われたのち、遂には心肺蘇生用の人形にもなった。

 

 以下、Leardal社ホームページからの抜粋。

セーヌ川の少女~
20世紀初頭、パリのセーヌ川で少女の遺体が引き上げられました。危害を加えられた痕跡もなく、それは自ら命を絶ったものでした。
少女の身元は確認されなかったため、当時の慣習にのっとり「デスマスク」が製作されました。そのうら若き少女の繊細な美しさとうっすらと浮かべた微笑が、彼女の死に謎を残しました。
このミステリーについて、様々な憶測がなされ、ロマンティックな物語が数々出版され、彼女のデスマスクとともにヨーロッパ中に広がっていきました。
後に、口対口の人工呼吸法を実用的且つ効果的に教えるためのトレーニングマネキンを開発しはじめたアスムンド レールダルによって、「セーヌ川の少女」は、再び脚光を浴びることになりました。彼は、この少女の早すぎる死に胸を痛め、悲劇がくりかえされないようにと、心肺蘇生訓練用マネキンに少女のデスマスクを採用。「レサシアン(製品名:レサシアン)」と名づけました。
セーヌ川の少女」から生まれたレサシアンは現在、世界中で何100万人もの近代蘇生の救命テクニックを学ぶ人々、救われた人々の生命のシンボルとなっています。
https://laerdal.com/jp/docid/6681880/Symbols-The-girl-from-the-river-Seine

 

 

  • 正体は? 過去の事例は?

 正体は現在に至るまで分かっていない


 だが、セーヌ川では毎年約150人近くが自殺を図り50人近くの遺体が回収されている自殺の名所であり、彼女も自殺者の一人ではないかという所で衆目は一致している。

 レサシアンが発見された時代にもセーヌ川では遺体が多く揚がっており、当時はモルグという施設で遺体は一般に公開されていた。

IMG_5193
参照:Wikicommons

 19世紀の終わり頃、モルグという遺体安置所は、セーヌ川の島の端、シテ島ノートルダム大聖堂のすぐ後ろに位置していた。

 

 遺体安置所が扱った死体の3分の2セーヌ川から引き上げられたものであり、それらは大半が自殺で、残りは偶発的な溺死、殺人などであった。

 

 遺体安置所の係員は、街を巡回し、死者の衣服、傷跡、傷を注意深く調べた。そののち、遺体は遺体安置所の窓に立てかけられた12枚の黒い大理石のスラブに展示され、調査が適正に行われたかどうか、一般の人々による"監査"が行われた。

 

 この不気味なショーケースは、パリで最も人気のあるエンターテイメントの1つになった。地元の人々や観光客は、普段目にすることの少ない光景を目当てにモルグへ訪れた。


 このモルグへと集まる遺体は、年齢も性別も様々であり、中にはレサシアンと同じような少女の遺体もあった。

 1895年には、フランスの日刊紙がセーヌ川から8歳の少女の遺体を引き上げたと報道している。さらに翌日、その近くで今度は13歳の少女がやはり川から発見された。新聞は"このふたりは姉妹だろうか?"と問いかけたが、この遺体も結局続報のないままであり、レサシアンと同じく身元不明遺体として処理されたようだ。

 

 つまり、セーヌ川から身元不明遺体が揚がることは過去にも珍しいことではなく、その中にはレサシアンと同じような少女も多くいたのだ。

 

 が、レサシアンだけがこれほどまでに注目を集めたのは、遺体に似つかわしくない微笑のおかげだろうか?

 

参考

 “Ophelia of the Seine” The Guardian Weekend magazine

https://www.theguardian.com/world/2007/dec/01/france.art

 Influence and authenticity of

l'Inconnue de la Seine

http://www.williamgaddis.org/recognitions/inconnue/index.shtml